「ああ、大丈夫だ」
「……良かった」



貴方が弱々しく微笑みかけてきたから僕は、危うく崩れかけるところだった。
必死に混濁した感情を圧し殺して微笑み返した僕は本当に、愚蒙過ぎる。

一言、また来ますと残して病室を出て、後ろ手でドアを閉める。
途端、喉の奥から笑いが込み上げてきた。
声には出さずに口角を吊り上げる。


(おかしいなぁ……)


────なんだこれ。

僕は……哀しいのか?
あの人がこんな目に会ったのは誰のせいだと言うのだ。
これは紛れもなく自分の招いた出来事だ。
なのに哀しいというのか。
本当はあの人を巻き込むつもりなど微塵も無かったのだ。
原因等々思い出すだけで億劫に成った。
胸が締め付けられるように苦しい。

僕はゆっくりと近くにあった長椅子に腰を下ろした。そして、呼吸を整える。


───嗚呼、冷静に成れば分かるものなのだ。
勘考するまでもなかった。

俺は……苦しいのか。


自分の此の感情が理解出来た瞬間、自然と笑っていた。
何だ、自分は冷静じゃ無かったのか、動転していたのか。

大切な人が危険な目に遇って。


もう、
"こんな筈じゃ……"何て言葉は今更だ。
手遅れなのだ。何もかも。
後は進むだけ。
時間が後退する等有り得ないだろう?

だから
僕は進むだけ。
与えられた道の上を止まること無く進むのだ。

待ち構えているのは
"絶望"なのに。

笑えてくるだろう?



貴方に云いたいのは他のどんな言葉でもなく

「ごめんなさい」

この一言なのに。


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意味わからないものに…
とにかく、足立は堂島さんに対しては、大袈裟?にいうと「非情」になれない…みたいな。
場面は堂島さんが事故った時の。

/修正:09/01/05


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