腹が減っては戦が出来ぬとは聞いていたがこれ程とは。
「も……、もう……動けないピョロよ……」
足元で何かピンクの物体が蠢いているのを確認した。俺はそいつに目を向ける前に眼前の敵兵士に銃口を向けた。
そして間髪入れずに引き金をひく。
重い破裂音に足元の奴は吃驚したのか、肩を小さく跳ねさせているのが視界に映る。
敵兵士は力なく崩れると、自らが作り出した血溜まりに臥した。
リカルドは溜め息をもらすと、ライフルを持つ腕をゆっくりと下ろし、足元に視線を向けた。
「……ハスタ、貴様はそこで何をしているのだ」
「さてさて俺は何をしているのでしょうか。いち」
「無駄口は良い。何を、している?」
リカルドが表情を変えぬまま銃口をハスタの脳天へと向けると、やっとハスタはゆっくりと起き上がった。愛用の槍をだるそうに手に取り、其を杖代わりに彼は立ち上がる。
「ちゃんと仕事はしたんだけど、余計に殺し過ぎちゃったみたいで、お腹がすいちゃったんだポン」
「何故此処にいる」
「それはオレの勘でお優しいリカルド氏なら、食べ物を分けてくださると思ったんだりゅん!」
リカルドはそれを聞いて一言、呆れたと呟くとコートを翻し、返り血まみれのハスタに背を向けて歩き出した。
それにしても何故ここに俺が居ると分かったのか。
ハスタの勘とやらにはある意味尊敬してしまう。
「ま、待つんだポン……」
苦しそうに呻くハスタの声に思わず振り向くと、奴は再び倒れ込んでいた。
「リカルド氏!今オレを助けるとアレよ?甘い汁吸い放題だにょろ」
「……口を動かす元気はあるのだな」
「……いや……もう、駄目だ」
バタ、っと自分で言うと地面に顔を伏せ、そのまま動かなくなった。
「俺は、貴様の保護者ではないのだ」
リカルドはそう呟くと、力尽きているハスタの元に歩みより手を差し出した。
「ほら、さっさと行くぞ。狸寝入り等後にしろ。此処は戦場だ」
「……リカルド氏、お優しいですこと!オレ感激!」
案の定、起きていたハスタは顔を上げ、体を起こすとリカルドの手を掴み、そのまま歩き出した。
槍を担ぐ男とライフルを担ぐ男二人が手を繋いで戦場を歩いている。
何とも奇妙な光景だが誰も見ているものは居なかった。
「……っ放せ!」
「ヤダ」
「………っ」
ハスタは嬉しそうな顔をしているのだがリカルドは険しい表情をしている。
どうしても放して欲しいのに何故かハスタの力が強くて振り払えない。
「貴様は腹が減って動けないのでは無かったのか?」
「それがリカルド氏の姿を見ていたらナント!全快復したのデスよ」
「くそっ……貴様の相手は疲れる……」
まあいい。
「後で貴様からその元気をなくしてやろう」
丁度腹も減ってきた頃だ。
「甘い汁が吸い放題なのだろう?」
「……いやん」
俺は歩みを速めた。
仕事の報告が先か、ハスタの相手が先か。
いや、仕事の報告が先だろうな。
ハスタの相手は時間がかかる。
これから成すことを回思すると思わずにやけてしまう。
「さあ、早くしろ」
歩調がマイペースなハスタを引っ張るようにして進むリカルド。
「積極的なリカルド氏にときめくオレ」
斜め後ろでぺらぺらと喋り続けるハスタの声など聞かずにリカルドは、夜営地を目指し歩く。
「今度は貴様のその元気を貰って俺が元気になる番だな……」
リカルドはそう言うと更に歩みを速めた。
fin
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これほどとは~はハスタの小さな呟きですwww
状況がわかりませんねww
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