依存
「ピオニー、泣いているのですか」
こちらに背を向け、肩を震わせるピオニー。
「泣いてねえ……っ」
「嘘を言わないで下さい」
声までも震わしているその姿を見れば、泣いているようにしか見えない。
ジェイドは静かにピオニーを抱き締める。
自分は、ピオニーが泣いている理由を知っているのだ。
実は昨日、失礼ながらもピオニーが自分の妹のネフリーに告白をしているのを見てしまったのだ。
人として良くない行為だとは分かっているので、途中でその場から去った訳だが、結果はこのように、情けなくも泣きじゃくる様子を見れば明らかである。
いつもの様子からみていて、ここまで脆いとは思わなかった。
嬉し泣きならば未だしも、昨日からずっと嘆いているのだ。
正直、国王陛下の身であるのに情け無いとしか言い様がない。
それに、こちらとして、迷惑な事に、部屋に閉じ籠ったまま出ようとしないピオニーを、初めはゼーゼマンが説得していたのだが、一向に出る気配が無かったので、最終的にその役が自分へと回ってきたのだ。
ドアを開けて貰うには苦労した。
言葉では何の聞く耳も持たない彼には呆れ、ついには譜術を使いますと、ドアの破壊宣言をすると、暫くしてからドアはゆっくりと開いた。
ジェイドが本気でやりかねない事は分かっている。
流石に破壊されるのは困るらしい。
何とか口論せずに開かれたドア……、そして今に至る訳なのだ。
「いい加減、泣き止んで下さい」
「……いやだね。俺の気持ちも分からねえくせに」
子供のようにそっぽを向くピオニーの言葉に、ジェイドは苛立ちを感じる。
「ええ、分かりませんが、何か? 逆に、貴方がいつまでもそうしてる事によって、皆さんに迷惑が掛かるのは分かっています? 自覚、ありますか」
冷たく言い放つとピオニーは一度ジェイドを見やったが、直ぐに顔を背けて一言、
「……一人にしてくれ」
と言った。その言葉に、ズキンと胸が傷んだ。
(──嗚呼、私こそ人を傷付けている自覚が無いのか……?)
でも、だからこそ
「嫌、です」
ジェイドはそう答えた。
力強い返答では無かったものの、あまりの真剣な眼差しにピオニーは反論が出来なかった。
「貴方を一人にしたら、また泣き出すじゃありませんか」
少しだけ、溜め息まじりにそう答えたが本当は、
一人になんか出来ない。何故かそう思った。
一人にしたくない。
傷付くのは、私だけで良い──。
別の気持ちが脳を支配していた。
それから、ジェイドは何も言わず、疲れた表情のピオニーを強く抱き締めた。
そうしてやると、力無い声が吐き出される。
「……すまない」
「いえ……只、私に依存している貴方を放って置けないだけです」
「だ、誰が依存して」
「貴方です」
自信たっぷりに言いはなったその言葉にピオニーは、ははは、と笑いを溢した。先程よりは元気を取り戻した様子で、口を開く。
「……やっぱ俺、ジェイドがいい」
どういう事です?
そう、問おうとしたが言葉にする事はなかった。
聞く前に答えが浮かんできたのだ。
「……そうですね。私も貴方が……良いみたいです」
ピオニーがジェイドの腰をぐっと引き寄せて、力強く抱き締めた。
他の誰かにこうされても生まれない、安心感が今はある。
(依存しているのは、貴方では無くて、私……)
こんなにも、貴方を心配してしまう。
Fin.
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3年前くらいの読物を見つけて編集してみました。
PJ、好きなんですが難しい(笑
ようわからん物になってしまいました。
09/02/04
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