Quiet rain has fallen .
静かな雨が降った。
それは、水溜りもロクに作られていない道端を眺め回せば明らかだろう。
僕は雨の音で目を覚まさなかった。
何時も降る雨だったら目が覚めたかもしれない。窓に打ち付けられる雨音に、知らずとも起きている五感の内の聴覚が反応して。
僕は気づかなかったのだ。
第一、誰が雨なんか降ったと言ったのだろうか。
僕の、勘違いだろうか。きっと雨なんか降ってなかったのだ。
そんな勘違いをしたのは僕の心が湿っていたからだろう。それか、あのヒトが淹れた、誘われるような香りのコーヒーがカップに注がれる音だろうか。
僕は、眠い目をこすりながらまだ、朝になりきっていない薄暗い光を浴びながら不安定なソファから体を起こして事務所の電気を点けようとした。
ふと、視界に人影が映る。薄暗いつきの光に当てられて窓辺に立ち尽くす一人の男。
何の疑いもなく僕は口を開いた。
「ゴドーさん……」
人影は僕の声に応じるかのように揺らいだ。
そしてゆっくりとこちらに振り向く。暫く僕は、その人物が掛けているでかい眼鏡といったものだろうか、そこから発される赤い光と真っ直ぐに見つめあった。
「……何だい、コネコちゃん。まだ起きてたのか」
「いえ、何か、目が覚めちゃったんです。ゴドーさんこそこんな時間に……」
「クッ、今日はあまり眠れねえんだ。それに、まだ4時だろ? ついでに俺はゴドーじゃない」
「コーヒー飲んでるからでしょう。早く寝てくださいね体に悪いですから……荘龍さん」
4時をまだ、と言い切り、地味な注文をしてきたこの大人に成歩堂は呆れながら再び横になる。
睡魔はすぐに襲い掛かってきた。他人を心配する余裕はなくなる。
「おやすみなさい……」
力のない口調でその言葉を口から漏らし、意識が遠のきはじめ、体の力が抜けかかったその時。
「クッ、よい子はねんねかい?龍一。寝れずに窓辺で黄昏てる可愛そうな奴には配慮なしってか。寂しいねぇ」
「…………
返事は返ってこない。呟き程度の音量では本人の耳には届かないようだ。
神ノ木は少しも動かない寝顔を見ながら、コーヒーカップを窓辺に置くと、口元に手を当てて微笑を浮かべた。
「お前は少しも思わないかい?俺と龍一の名前に同じのコが潜んでるのを。それをイヴとアダムが偶然巡り会ったように運命だと俺は思うぜ。そんな奴を俺は」
寂しげな表情を浮かべ、それでもって楽しそうに口角を上げる。コーヒーカップが安定しているのを確認して、神乃木は成歩堂の寝ているソファに近づいた。
忌々しい目の代わりの機械に手を当て、彼は「龍一が赤色で構成されてなくてよかったぜ」と呟きながら、開きっぱなしのその唇を寝息を立てる龍一の唇に落とした。
部屋が少し暑いせいか、彼の唇は少しだけ乾燥しているように感じる。
神ノ木は、別に乾燥しているのがイヤだとかそういう意味ではなくて、口付けで起きたら更に運命を感じるんだけどな、という思考からどうしてもこのままの体勢で起きて欲しい、そう考えたらしくわざとらしく、そしてしつこく唇を舐め回してやった。
勿論、ここまでされたらイヤでも起きてしまうだろう。
案の定、成歩堂は口元に感じる異様な感触に、目を見開くようにして起きた。
「………っんっ………ん!?」
「………お目覚めの第一声がいやらしい吐息とはコネコちゃんらしいぜ」
「……っな、何するんですか!!」
「クッ、お目覚めのキス、だ。なんだ?小鳥に唇を啄まれる方がマシだったかい?」
「馬鹿いわないでください! お目覚めじゃないでしょう!? あなたのせいで目が覚めたんです!」
成歩堂は欠伸を会話の間に繰り返しながら、ばれないとでも思っているのか、さり気無く腰に手を回してくる神ノ木を睨め付けた。
「もう怒りました! 何時だと思ってるんですか!? 眠いこちらの身にもなって下さい!」
「……龍一は俺を少しも愛してない……か」
「そんな事言ってませんよ!」
「じゃぁ、眠れねぇ俺に付き合ってくれ」
イヤだ。
もうそんな寝言はいってられないようだ。
思うより早く彼の手はしっかりと成歩堂を捕らえる。
逃げる間も取らせずに神ノ木は成歩堂を乱暴にソファに押し付けると、先ほどより濃厚なキスを仕掛けた。
成歩堂は頭の芯を痺れさせた。
(壮龍さんのキス……好きだな)
されてみれば何故か満更でもなくなってしまう自分が悔しい。
イヤだイヤだと口から言ってみるものの、それは直ぐに出任せと化する。
全ては彼のせいだろう。神乃木壮龍。彼が発する、男の大人そのものを感じさせるオーラは既に僕を虜にしていた。
見た瞬間から惹かれていたのだ。
「分かりましたよ。では、後で静かに寝かせてくださいね」
「クッ、その頼みなら聞いてやれない事もねぇ」
部屋の電気は点けないままで、薄暗い月明かりの中僕は自分から壮龍さんに唇を合わせていた。
僕が自分からキスをする時はめったにないので驚いているだろう。
しかし、流石にそこで退く人じゃない事は知っている。
唇を割って舌を入れてきたのは僕に先導権を握られたくないためか?
それでも彼が少し焦っているのは確かだと思った。ソファに彼の体を引き寄せ、心臓に手を当ててみるといつもより動悸がしているように感じた。
口腔では舌が僕の舌をを弄る様に掻き回される。
唇同士が離れる時に引く唾液の糸は、気分までも淫らにさせてゆく。
「……っん…………ぁ、は……」
「……なんだ、これだけで気持ちよくなってんのかい?」
「……ちがっ」
「じゃぁ、これはなんだ」
そういって神乃木が意地悪く撫でたのは紛れもなく、反応している身体の一部。
ここで脱がされるのか、とびくびくしていると神乃木は行き成り成歩堂を抱き上げた。
「ちょっ……何するんですかっ!?」
「何するも何もアンタが期待していることをするために舞台へと運んでやるんだぜ? コネコちゃん」
「いや、です! 起きているだけでいいでしょう! っわわわ」
反論の余地は殆ど設けられず、不安定な運び方で別の部屋へと移された。
部屋に着くなり、僕の体はベッドの上へと放り出される。
「最近、用事が多くて触れなかったからなァ。今日ぐらいいいだろうよ」
「…………」
神乃木は成歩堂の体を包むように、優しく抱きしめると、ゆっくりと皮膚を覆う布を外していった。
馴れたはずの行為にも未だ、成歩堂が赤面をしながら神乃木から視線を逸らすと、静かに押し倒され首元に口付される。
「く・・・すぐったいですよ。壮龍さん・・・・」
心地よい彼の唇。
優しく僕の胸を撫でる暖かい掌。
彼の表情は読み取れない。向うからは伺えるのに僕だけ分からないまま。
でも、触れているだけでお互い通じあっている気がする。
愛し合うってこんなものなんだろか?
僕は、幸せなんだろう。
「…………壮龍さん、好きです……」
「クッ……こんな時にしか言わないコネコちゃんが俺は大好きだぜ」
僕は、腕を伸ばしてカーテンを開けると、いつの間にか雨は上がっていた。
いや、雨なんか元から降っていなかったのだろう。
僕は勘違いをしていた。外の景色に勝手に自分の心の中に降っていた雨を重ねていただけ。
雨が降っていれば、その音で自分の胸の高鳴りを隠せる。
そう感じたのだろうか。
そういえば、天気予報では一日晴れだといっていたな。
やっと、自分に正直になれるのかな。
「こんな時にしかいえなくて悪かったですね」
FIN
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なにこの恥ずかしいモンはwww
フォルダ漁ってたら出てきましたww
修正:2009/02/20
あまりにも見苦しかったので修正。
見苦しさは変わりませんけどw
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